当たり前すぎてわからない土の話 土壌有機物(土壌生物を含む)

 土壌を作っている成分の三つ目になります。

前回紹介した、砂と粘土。今回紹介する土壌有機物(生物を含む)になります。

土壌の成り立ちからわかるように、植物の遺体やそれを分解する微生物が非常に重要なものになります。

ちょっと脱線します。

この地球上における最も大きい炭素の貯蔵庫です。(1500×10¹²㎏)

地球上の植物に含まれる量の3倍、ちょっと古いデータですが大気中に含まれる二酸化炭素の2倍に相当します。

化石燃料などの使用などの有機物への利用が少なかったころは2100×10¹²㎏と推算されています。

この減少現象は、人間の森林伐採や開拓・農耕地の拡大により起こったことである。

ガソリンや灯油などの化石燃料だけの問題ではないということです。

農耕地における有機物の損耗を防ぐことはこれからの農業において重要な役割となります。

話を戻します。

土壌生物の役割

微生物は主に3つに分類されます。

無機物や光によって有機物を生み出す 生産者

その有機物を消費する 消費者

生産者や消費者の死体の有機物を分解して最終的に無機物へ戻す 分解者

があります。

ここでは、生産者(主に植物)が合成した有機物を分解・無機化して再び生産者が利用できるようにするサイクルについて述べていきます。

土壌生物と植物のかかわり

そのままでは利用することのできない有機物を分解、無機化して養分を作り出すことや、良い土壌環境を作り出すことにより、植物の生育を助けている。(共生や窒素の形態変化等)

植物の生育や作物生産に果たす土壌有機物の役割は大きい。

土壌生物の役割

土壌動物の役割

①植物遺体の摂食・粉砕

クモやダニ、ムカデ、ヤスデ、ダンゴムシ、ミミズ等

作物残渣や生ごみ、落ち葉等の比較的大きい有機物を食べ、吸収し、その排泄物を糞として排出する。この糞になる過程で有機物が小さくなり、微生物に分解されやすくなる。

②土壌の攪拌と土壌と有機物の混合

土壌生物は、土の中を移動し、地表から有機物を地中に運び、地中から地表へ運び出す。この作用が最も大きいものはミミズである。ミミズは土壌・植物遺体を摂食し、粉砕、消化して砂と混合し糞塊と呼ばれる粒子として地中や地表へ排出する。

この土壌生物の働きによって土壌の団粒化、通気性、保水性の向上、養分の蓄積がおこり、土壌動物や微生物の活性が高まる。

これらの相乗効果で植物の生育に適した土壌環境が形成されていく。

土壌微生物の役割

①有機物の無機化 落ち葉や植物遺体を分解し再び植物が利用できる形にする。

②窒素の固定 空気中に含まれる窒素は、植物の栄養とすることは出来ません。微生物が、空気中の窒素を肥料として植物が利用できるようにしています。

マメ科の根粒菌に代表される微生物が空中窒素を植物へ供給します。

その後、植物が分解され、アンモニア化、硝酸化、植物吸収され、また植物へと戻っていきます。このすべての作用に微生物がかかわっています。

団粒構造の形成

有機物を分解する過程でノリのような物質ができ、砂や粘土の粒子を結合させる。また増殖したカビの菌糸が絡みつき、粒子と粒子を結びつける。この作用により、植物にとって良い土壌環境が整えられる。

眼には見えませんがその作用はとても大きいですね。

日ごろ、堆肥を入れたり、木酢液、有用菌などを施用していますが、このような効果があります。

なんとなくではなく、しっかり理解した上で使用していきたいですね。

長くなってしまったので土壌有機物、腐植等の話は次回にします。

ありがとうございました。

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