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当たり前すぎてわからない土 土壌有機物

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 土壌有機物というと気難しい印象ですが、~堆肥とか土をふかふかにするもののことです。 土壌有機物は、動植物や微生物などの遺体が土壌微生物に分解された物質で作物の養分になります。他にも土壌動物、微生物の栄養、エネルギー源にもなります。 土壌有機物は、二つに分類されます。 ①粗大有機物 ②腐植 ①は、堆肥や緑肥、有機質肥料などになります。 ②は、有機物が微生物により分解され、微生物の生成物がさらに分解され、結合し、化学的に安定した高分子物質を腐植と言います。 ここでのポイントは、①はこれから分解されていくもの。②は分解済みのものが結合し保肥力などの化学的な性質を持った物質です。①は分解されやすく、②は分解されにくい物質です。 有機物の効果として、 ①養分の供給  ②窒素の有機化による貯蔵 ③微生物の活性化 ④養水分の保持 ⑤土壌の急変を抑える機能 ⑥土壌を柔らかくし、肥沃にする このうちの④と⑤は主に腐植による効果になります。 頻繁に耕される場所(畑等)では、有機物の分解が促進され、減少していきます。 最初は、分解されやすい粗大有機物が減少していきます。 粗大有機物が減少していくと、腐植すらも分解され減少していきます。 有機物の補給を行わないと有機物が減少していき、有機物の効果が失われていきます。 養分が乏しくなり、土が固くなり、植物が育ちにくくなってしまいます。 いわゆる土が痩せてくるという症状になります。 では、どのように対策をしていくか。 分解されやすい有機物を投入して、土の中の有機物の減少を抑えるしかありません。 作られる時間が長い腐植を守るために行うイメージです。 筆者の使い方 冬野菜が終了した1~2月に牛糞堆肥、バーク堆肥を半々で混ぜて2キロ/㎡投入します。 今まで畑にしていなかった場所を畑にする場合には2~3倍の量を投入します。 とっても大切な有機物の話でした。 ありがとうございました。

当たり前すぎてわからない土の話 土壌有機物(土壌生物を含む)

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 土壌を作っている成分の三つ目になります。 前回紹介した、砂と粘土。今回紹介する土壌有機物(生物を含む)になります。 土壌の成り立ちからわかるように、植物の遺体やそれを分解する微生物が非常に重要なものになります。 ちょっと脱線します。 この地球上における最も大きい炭素の貯蔵庫です。(1500×10¹²㎏) 地球上の植物に含まれる量の3倍、ちょっと古いデータですが大気中に含まれる二酸化炭素の2倍に相当します。 化石燃料などの使用などの有機物への利用が少なかったころは2100×10¹²㎏と推算されています。 この減少現象は、人間の森林伐採や開拓・農耕地の拡大により起こったことである。 ガソリンや灯油などの化石燃料だけの問題ではないということです。 農耕地における有機物の損耗を防ぐことはこれからの農業において重要な役割となります。 話を戻します。 土壌生物の役割 微生物は主に3つに分類されます。 無機物や光によって有機物を生み出す 生産者 その有機物を消費する 消費者 生産者や消費者の死体の有機物を分解して最終的に無機物へ戻す 分解者 があります。 ここでは、生産者(主に植物)が合成した有機物を分解・無機化して再び生産者が利用できるようにするサイクルについて述べていきます。 土壌生物と植物のかかわり そのままでは利用することのできない有機物を分解、無機化して養分を作り出すことや、良い土壌環境を作り出すことにより、植物の生育を助けている。(共生や窒素の形態変化等) 植物の生育や作物生産に果たす土壌有機物の役割は大きい。 土壌生物の役割 土壌動物の役割 ①植物遺体の摂食・粉砕 クモやダニ、ムカデ、ヤスデ、ダンゴムシ、ミミズ等 作物残渣や生ごみ、落ち葉等の比較的大きい有機物を食べ、吸収し、その排泄物を糞として排出する。この糞になる過程で有機物が小さくなり、微生物に分解されやすくなる。 ②土壌の攪拌と土壌と有機物の混合 土壌生物は、土の中を移動し、地表から有機物を地中に運び、地中から地表へ運び出す。この作用が最も大きいものはミミズである。ミミズは土壌・植物遺体を摂食し、粉砕、消化して砂と混合し糞塊と呼ばれる粒子として地中や地表へ排出する。 この土壌生物の働きによって土壌の団粒化、通気性、保水性の向上、養分の蓄積がおこり、土壌動物や微生物の活性が高まる。 これらの相乗効果で...

当たり前すぎてわからない土って何?2 土

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  地球の地殻には92の化学的元素が知られている。その中から鉱物の組み合わせは2000程度認められています。 土壌において重要な成分は比較的少数である。 地球の皮殻の約98%は8つの元素によって構成される。 多い順に酸素、ケイ素、アルミニウム、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム。 この中で酸素とケイ素のみで75%を占め、植物に必要な成分の多くは非常に少数しか存在しない。 さらに、これらの成分が地球上に均一に分布しているわけではないので、地域差は非常に大きい。 例を挙げると、リン化合物がある。若干の場所では採掘できるほど高濃度になっている。 一方、その他の多くの地域では、植物が十分に生育するにはリン酸が足りていない。 (非農耕地の話であって、既農耕地の話ではありません。ただ、日本もリン酸が不足する地域でもあります。) さーて、わけわからない話でしたね。 地殻に含まれる岩石が大事です。 石は、土でしょうか?違いますよね。 石が、雨風にさらされ、川で削られ、凍って割れて、植物の根っこにも砕かれて小さくなっていきます。 そして、2mm以下の粒形になったものが土壌に分類されます。 その中で、壊れやすさから二つに分かれます。 砂(粗砂、細砂、シルト)、粘土です。 壊れにくい成分は砂の成分となります。 風化されやすい成分は、粘土の原料となります。 岩石から風化により放出された原子は、植物に利用されるか、洗い流されます。 この原子たちは、寄り集まって全く違う土となります。 この粘土鉱物は難解で、土壌を語るうえで重要です。 お付き合いください。 詳しいことを書くと読みたくなくなってしまうので簡単に。 砂は物理的に細かくなったもの、粘土は物理的に細かくなったものから放出された成分が化学的に変化してできたものになります。 では、化学的な変化とは何でしょうか。 原子同士がくっついて、サンドイッチ、ボール、ストローになったものになります。 粘土とその周辺の元素との反応で面白いことがおこります。 中核の元素が入れ替わることでマイナスの電荷を帯びます。 このマイナスは、他のプラス元素をくっつけることができます。 プラスの元素には、植物にとって重要な成分が多くあります。(アンモニア態窒素、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アルミニウム) このマイナスの電荷が=...

当たり前すぎてわからない!土、土壌って何?

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  日ごろから、「土作り」「耕す」「土壌」「土壌改良」など土に関わる用語がありますがそもそも土とは何でしょうか。 土壌の定義は、土「植物を生長させる大地」壌「柔らかく肥えた、豊か、時間をかけてゆっくりと」になります。 土、土壌の成り立ちは、ものすごく時間をさかのぼり4億年前になります。 4億年前はオゾン層が形成され、有害な紫外線が遮断されるようになり生物が地上へ進出しました。 それまでは海に生息していたため乾燥とは無縁でした。しかし、生物は地上へ出ると、水分を吸収し保持することが必須となりました。 そこで、植物は地中へ根系を発達させていきました。 芽吹く、育つ、繁殖、枯れるを繰り返すことで、それまで石、岩盤だった地表に植物の遺体が堆積していきます。この堆積物が地上での初めての土壌となりました。ちょっとそれますが、その後に植物が旺盛に繁茂したため、大量の遺体が蓄積し、泥炭化し、変成作用を経て石炭となりました。 この土壌が、地殻変動や気候変動により様々な地域へ分布し、今日みられるような複雑な土質を生み出しています。 今日、地球上に見られる土壌の厚さは平均して18㎝しかありません。年代計測により数千年から数十万年かけて出来上がっていると明らかになっています。 では、土は何からできているでしょうか。 個体、液体、気体の三つに分かれます。 ①個体 有機物(生物、腐植)無機物(砂、粘土、鉱物から溶出したミネラル) ②液体 土壌水分(水に溶ける養分) ③気体 土壌空気(大気より酸素が少ない) 土はどのようしてできるのでしょうか。 何も起こらなければ地表はいつまでも岩盤のままです。 必要になるものは、原料となる岩石気候、雨や気温、空気、生物、時間 岩石に、雨が当たることで溶かします。 生物(動物、植物、微生物)と気温の効果で化学反応を促進します。(有機物の分解等) 空気 酸素によって酸化を促し、二酸化炭素は雨に溶け込み物質を溶かします。 時間 土壌を生成するための時間(数千から数万年) 筆者の師匠である土壌学の教授は、「土作り」をいう言葉を非常に嫌いました。 気の遠くなるような様々な地球での現象によってできた「土壌」を「作る」などどいうのはおこがましい。 その通りだと思います。 では、何を心がけるかです。 今、家庭菜園や農業を行っている土を貴重なものであると自覚して、その土...

樹木、庭木を植える時どうしてる?6年間の失敗を綴ります。

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僕はこうします。 すごく大変ですが約1m×1メートル×深さ60㎝の穴を掘ります。 そして掘った穴の下に5㎝程度のパーライトの層を作ります。 掘り上げた土の2割程度の量の土壌改良材をよく混ぜて埋め戻します。 埋め戻す際によく踏み込みながら埋め戻します。(穴の中の余分な空気を押し出すためです) ここで使った土壌改良材は200ℓ程度になります。 配合は、パーライト、ピートモス、バーミキュライト各50ℓ、バーク堆肥40ℓ、もみがらくん炭10ℓ、石灰400gです。 なぜ、このような大変な土壌改良を行うかの説明をしていきます。 これまで無茶苦茶失敗してきてるからです。 結婚を機に6年前に岐阜へ引っ越してきました。 実家は神奈川県です。そして園芸的な経験値が多いのも関東になります。 関東は関東ローム層に代表される非常に柔らかい黒土の層が厚い地域になります。 この黒土の層30~50㎝深いところでは1m及びます。 鹿沼三兄弟の項で触れましたが化学性に問題はあるが物理性は非常に良いです。 だから、何もしなくても植物の根が張れる深さは30センチ程度あることになります。 畑土壌の改良目標は深さ25㎝です。特に作業を必要とせずに達成しています。 問題となるのは化学性(肥料、pHなど)ですが、肥料で改善していけばそこそこ育つ土になってくれます。 この経験があるため、つい考えが肥料で何でも解決できるとなっていたのです。 ここからは岐阜県での話になりますが6年間失敗し続けます。 岐阜県中津川市の土壌の特徴は、中津川駅周辺の平地では砂と砂利の多い砂地です。  そこから離れた地域では画像のような粘土質かつ水はけの悪い土が多いです。 自宅周辺にちょっと花壇でもと肥料を入れて花を植えました。 結果育たずボロボロ、枯れるものもありました。 30cmほど掘って改良し植えこみました。 今度は下層の土が著しく痩せていたため結果は枯れるものはなくなったがボロボロです。 そこで、植物を育てることが下手になったのかと思いプランターで育ててみました。 そこそこの出来です。下手になったわけではなさそうです。 もしかしたら土そのものかもしれないと思い始めました。 一回にたくさん入れることができる牛糞堆肥を使い始めます。通常2㎏/㎡ですが倍の4㎏/㎡を投入していきます。 ボロボロから多少の改善はありましたがまだまだ健康...

微量要素肥料+ケイ酸 ケイカル FTE プランター農業 オリジナル培養土の中身とは17 

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微量要素肥料について書いていきます。 鉄、マンガン、銅、亜鉛、モリブデン、ほう素、塩素の7種類があります。 それぞれの説明していきます。 鉄 呼吸や光合成の際の酸化還元反応に関与します。通常土壌にはたくさんの鉄が含まれているため欠乏することがほとんどないがpHが極端に高くなったり、リン酸が多く蓄積していると欠乏症を引き起こすことがある。 マンガン 植物体内で酸化還元反応や転移反応、脱炭酸反応、加水分解反応などに必要な成分。pH6.5以上では欠乏症を引き起こしやすく、pHが6.5より下がったり蒸気消毒などの加熱により一時的にマンガンが吸収しやすくなり過剰症を引き起こしやすくなる。 pHをしっかりコントロールできていれば大きな問題にはならない。 銅 植物体内の酵素の重要な成分。酸化還元反応やたんぱく質代謝に関係する。pHが高まると吸収を妨げ、腐植を多く含む土壌では欠乏症が出ることがある。 亜鉛 葉緑素の合成やβーインドール酪酸の生成に関与する。βーインドール酪酸は植物ホルモンのオーキシンになります。オーキシンは根や芽の伸長に関連します。pHが高まると吸収しにくくなる。最近では家畜糞に含まれる銅や亜鉛が畑に持ち込まれることが多くなっている。 モリブデン 植物にとって最も必要量が少ない成分。硝酸還元酵素の成分元素となっている。 ほう素 植物中のリグニンやペクチンの形成、糖の移行に関与する。植物によって要求量は著しく異なる。少なすぎても欠乏症、多すぎても過剰症となるため施肥には十分に注意が必要である。 塩素 葉緑素中の光合成に関与している。塩安や塩化加里など多量要素を肥料として与えた時に随伴して施用されるため、欠乏することはほとんどない。 小難しい説明が続きましたが、まとめると「~の合成に関わる」です。合成に関わる材料は多量要素、その合成を助けるのが微量要素という理解で概ねOKです。 そして、そのほとんどが金属であるために肥料としての性質は、土壌の酸度「pH」が大きく関係することになります。 酸で金属が解けるイメージで良いと思います。 筆者の微量要素、利用方法 基本的にはあまり使用しません。 まずは、しっかりpHを測定し、石灰等を使用して適正値(6.8程度)を維持します。 ただ、3年、4年と再利用を繰り返した培養土、畑では予防を兼ねて施用することがあります。 クミアイF.T....