堆肥 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは5
プランター農業で使用する堆肥はバーク堆肥と牛糞堆肥を半々で混ぜ合わせたものを使用します。一口に堆肥といっても様々な種類がありますので堆肥全般について書いていこうと思います。
堆肥の種類は、主となる原料で分類されます。
原料には、牛糞尿、鶏糞尿、豚糞尿、樹皮、おがくず、かんなくず、藁、草木、もみがら、みかんの果皮、コーヒーかす、パルプくず、剪定枝葉、焼酎廃液、廃菌床等になります。
それぞれの特徴を詳しく書くと一冊本ができそうなのであっさりと触れていきます。
牛糞尿 特に水分が多く、肥料成分が少なく、繊維質に富む
豚糞尿 水分は牛糞と比べて少なく、窒素やリン酸が多い、繊維質はやや乏しい
鶏糞尿 牛、豚糞と比べて最も水分が少なく、窒素、リン酸、加里、カルシウムが多い堆肥というよりは肥料というほうが近いかもしれません。分解速度が速く繊維質が乏しい。
樹皮、おがくず、かんなくず
繊維が最も多く、丈夫。非常に腐りにくい。生育を阻害する物質を含む。野ざらしにし有害物質を洗い流し、繊維がほどけ易いようにする。おもに家畜糞尿に混ぜられるか、飼育場所の敷材に使われる。腐りにくいため、発酵助剤として使われることが多く、それ単体での製品は少ない。
藁、草木。地域によりバラつきが大きい。繊維が多く、肥料分は乏しい。それ単体での堆肥化は難しく、家畜糞尿と混ぜたり窒素成分を添加してやる必要がある。
もみがら 家畜を飼うときに使われる敷材(おがくず、稲わら)が不足してる現代において敷材として広く使用される。よって家畜糞尿と混ざった状態となる。稲わらと違い隙間が多いため水分調整が容易である。わらなどと一緒でそれ単体では堆肥化し難い。
みかんの果皮。缶詰加工時に発生する外皮と内皮、ジュース加工されたカスを原料とする。一部実用されているが、ほとんど利用されていない。そのほとんどを埋め立て処理される。特徴としては窒素分が多い。研究がほとんどされておらず施用効果はわからない部分が多い。
コーヒーかす。インスタントコーヒー製造の際に排出される。成分として分解されやすいが生のまま施用すると植物が育たない。そのまま野ざらしにしても堆肥化は進まない。分解しにくいバーク等に混ぜる必要がある。
パルプかす。製紙する際の様々な薬品が残っていることが問題。一般消費者は使わないことをお勧めします。
剪定枝葉。品質によりばらつきが大きい。小さい粒度で発酵させたものはバーク堆肥と同等の効果がある。大きい粒度のものは果樹などで排水性の改良に使用できる。
焼酎廃液。蒸留後に得られる廃液である。全体の2割が農業に利用され、1割が飼料に、約5割が海洋投棄される。(2007年)現在は異なるかもしれません。そのままでは液体で、品質もバラつきがあり、そのままでは使用しにくい。ほかの資材と混ぜても品質を低下させるなど難しいところである。個人的な意見だが、酢酸等の有機酸を多く含むため薄めて葉面散布や土壌に撒くことで面白い効果があるかもしれない。主な発生地域が九州であるのが悔やまれる。
廃菌床。きのこ生産に使われた培地残渣。腐敗が早く、取り扱いが非常に難しい。新鮮な状態で浅く漉き込むなど方法はあるが、一般消費者が新鮮な状態の廃菌床を得られるとは考えにくい。
それぞれの特徴や特性を組み合わせて発酵させ市販の堆肥が出来上がります。
一般的に市販で手に入る堆肥の主なものは、
牛糞堆肥
豚糞堆肥
鶏糞堆肥
バーク堆肥(木質原料)
パルプくず堆肥
おから堆肥
それぞれを混ぜた複合堆肥になります。
①からの続きになります。
そもそも、なんで堆肥を入れるようにになったのでしょうか。
昭和59年にさかのぼります。
地力増進法が施行されました。土壌改良資材の品質と作物を生産する能力(地力)の増進と経営の安定のためです。
その当時の農地は、過剰な施肥により土の養分が増えすぎて植物が育ちにくくなるという問題を抱えていました。温暖で多雨な気候も影響を与え養分の流亡、有機物の分解促進など土が痩せていく条件を満たしていました。
その中で土壌改良資材としての堆肥が注目されました。
分解されやすい土壌中の有機物の減少を堆肥を入れることで補給していこうと考えたからです。
有機物の効果は、土壌の通気性、排水性、保水性、保肥力、緩やかに肥料を手放す、微生物の住みかとなる等作物への貢献度は非常に高いものになります。
そのことを踏まえて、各堆肥の特徴と使い方を見てみましょう!
市販で手に入る堆肥は牛糞堆肥、豚糞堆肥、鶏糞堆肥、木質入り堆肥、バーク堆肥、もしくはそれぞれを混ぜ合わせたものになります。
牛糞堆肥 家畜糞の中で最も穏やかな堆肥。含有する肥料はゆっくりと効果を現し、繊維質が多いことから土を柔らかくする効果も長い。敷材の都合上、おがくず、チップ、もみがら等混入してあり、それも堆肥の効果を長くしている一因である。
豚糞堆肥 牛糞堆肥よりも肥料分を多く含む、その肥料の量は有機質肥料といっていい。2キロ/㎡を混入した場合には、肥料としての元肥は半分から1/3程度減らすほうがよい。むしろ豚糞堆肥のみ混入し、追肥で調整するとよい。
鶏糞堆肥 家畜糞のなかで最も肥料成分が多い。他の堆肥と同じ量を施すとまず間違いなく過剰である。堆肥というよりは肥料として扱うほうがよいだろう。最初に1000~800g/㎡混入したら元肥は入れず、追肥で調整したほうがよいでしょう。鶏糞だけだと投入される有機物が少ないので牛糞堆肥もしくはバーク堆肥を1~2キロ/㎡と組み合わせる方法がある。特に取り扱いが注意な資材である。臭いがきついが臭いがあるうちに畑に漉き込んでしまうほうが肥料効果が望める。臭いの原因がアンモニアなため土の中で肥料に変わる。
木質入り堆肥
おがくずや木チップが入った堆肥です。それ単体での堆肥はなく、鶏糞、豚糞、牛糞と混ぜ合わせたものである。市販されているこういったたい肥は、表面は堆肥化し問題ないが中はまだ生の状態である。入れてから3か月程度で肥料を手放していくが、秋に大量に入れると肥料が効きにくくなることがある。よって入れる時期と量には気を付けたほうがよい。
ただ、分解が非常に遅いため有機物として土の中にとどまる時間は他の堆肥の比べ物にならない。よって、土を柔らかくし、排水性、保水性を高めるにはうってつけの資材である。
バーク堆肥
樹皮からつくられる堆肥である。家畜糞や尿素、硫安などを添加してつくられる。
施用量は2キロ/㎡程度である。木質入り堆肥と同様に土の中で分解されるまで非常に時間がかかる(3~5年)そして最大の特徴は3~5年の間そのものが鹿沼三兄弟の約8倍の肥料をつなぎとめることができる点である。
ここからは筆者の使い方だが、
春には、牛糞堆肥と木質入り堆肥またはバーク堆肥を半々で混ぜ2キロ/㎡入れ、通常通り肥料を入れて使う。
秋は、豚糞堆肥と半々に混ぜ2キロ/㎡入れる。
このことで、仮に肥料が効きにくかったとしてもその他の家畜糞からわずかながら肥料成分が得られることで±0もしくはすこし+の状態を意識して使っている。
この使い方なら、堆肥からの肥料も利かせつつ、重要な役割である有機物の供給という二つの課題をクリアーできる。さらにバーク堆肥を使用すれば保肥力も追加することができる。
長い投稿になってしまいましたがどうだったでしょうか。
すべて同じ「堆肥」という名前になってしまいますが、そのうちは様々です。
土の資材も長所があり、短所があります。
皆様の土の状態に合わせて使い分けてみてはいかがでしょうか。
不安な点や不明な点がありましたらお気軽にコメントしてください。
ありがとうございました。
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