石灰 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは7
鹿沼三兄弟編で少し触れた石灰について話していきます。
プランター農業で使用する主な石灰資材は、石灰窒素、苦土石灰、硫酸カルシウムになります。
それぞれに特徴もあり、種類も豊富なので良い機会ですから石灰全般で話していこうと思います。
石灰に求められる効果は大きく分けて二つになります。
①肥料としてのカルシウムの供給
②土壌のpHを適正に保ち、肥料の吸収を円滑に行わせる。
③有機物の分解促進
④有害微生物の繁殖抑制
①理由は、植物の生長に欠かせないものです。植物の中にある酸を中和しペクチン酸と石灰が結合して細胞膜を作ります。植物の体を作る骨格となります。
次にたんぱく質の合成に石灰が必要になる。
根の生長に石灰が有効である。
まとめると、植物の全身を構成するために必須の成分となります。
②の理由は、土の酸性を矯正し、有害なアルミニウムを不活性化、使えなかったリン酸を使えるようにする、微量に必要な金属類の吸収促進など。
不必要なものを無害化し、必要なものを吸収しやすくする効果があります。
③土の中に含まれる有機物の分解を促進し、土壌をふかふかにし水はけや保水性を向上させる。
④pHが急激に変化することで病原微生物の繁殖を抑制する。
この点から、石灰資材は土壌の生産性を上げるために必須の成分である。
石灰は製法や成分で三つに分類されます。
グループ① 生石灰、消石灰、炭酸石灰、苦土石灰
グループ② 副産石灰、混合石灰、貝化石肥料
グループ③ 貝殻、貝化石粉末
それぞれ述べてみます。
グループ①
生石灰 アルカリ分が80~95%、く溶性マグネシウム27~30%含まれる。石灰岩を熱し炭酸ガスを放出したもの、土壌に対する酸性中和能力が最も高い。土の中で激しく反応し他の石灰資材では上げにくいpH7以上へすることもできるため、土壌病害対策もできる。水を加えたのち消石灰の状態で施用する。ただし、植え付けの14日前から施し、反応を終わらせたのちに作付けしないと植物が枯れることがある。肥料は一緒に施用してはいけない。チッソとリン酸が損失する。保存中に湿気たり、水にぬれると激しく発熱するため取り扱いには注意が必要である。なるべく使用しないほうがよいでしょう。
消石灰 アルカリ分60~70%く溶性マグネシウム5~20%を含む。生石灰の量の1.3倍施用する必要がある。生石灰に水を加えて反応させたものです。生石灰と同様に、撒いてすぐの植え付けは出来ない。14日程度前に施すとよい。生石灰と同様、窒素とリン酸の損失が起きるため肥料は同時に入れてはいけない。その際に生石灰より酸性矯正能力は劣りますが、発熱しないので取り扱いが簡便である。しかし、湿気を含むと石のように硬くなり保存性はあまりよくない。
炭酸石灰 アルカリ分53~55%く溶性マグネシウム3.5~11%含む。生石灰の1.5倍施用する必要がある。石灰岩を砕いたもので原料の違いからマグネシウム量が異なる。グループ①の中では酸性矯正能力はやや劣る。やや効き目は遅いが粒子が細かいほど効果は早い。土壌中の反応がゆっくりなため、土壌との混入後は肥料や植え付け、種まきをしてもかまわない。樹園地や牧草地など耕せない場所では炭酸石灰が適しており、表面に撒くだけでよい。野菜畑では下層土が酸性化することがあるので深耕する際にも利用できる。水にほとんど解けず、吸湿性もないため取り扱いが非常に簡便
苦土石灰 アルカリ分55~100%く溶性マグネシウム10~35%。生石灰の1.5倍施用する必要がある。炭酸石灰と炭酸苦土を含むドロマイトを粉砕したもの。緩やかに効き目がある。炭カル同様非常に使いやすい。土壌との混合後はただちに肥料、植え付け、播種してもかまわない。粒子が細かほど効果は早く出る。炭カル同様吸湿性がほとんどなく取り扱いが簡便である。
グループ②
副産石灰 アルカリ分35~80%く溶性マグネシウム1.5~5%。消石灰か炭酸石灰が主成分となり、主成分によりそれぞれの性質を持つ。それぞれについてはグループ①を参照願いたい。マグネシウムが少ないので必要であればマグネシウムを追加する。各種化学工業の副産物である。水酸化カルシウムか炭酸カルシウムである。
混合石灰 ①炭酸石灰、生石灰、消石灰、副産石灰の4種類を2種類以上混合したもの。②石灰分を含む泥状物に生石灰を加えたもの。③上記の4種類各々に土壌中で混ざりやすさや反応を緩やかにする材料を使ったものに分けられます。それぞれの主成分によりグループ①と性質は同様である。
貝化石石灰 貝化石を粉末にし、粒にしたもの。主成分を35%以上含むものをいい、貝化石粉末と区別される。炭酸石灰と同様であるが、土砂、有機物、微量要素を含むため品質を重視する野菜、チャ、果樹などで用いられている。いろいろな効能が挙げられているがその機能については不明な点が多い。
グループ③
貝殻粉末 各種貝殻を粉砕して製造される。主成分は炭酸石灰なので性質は同様である。
貝化石粉末 貝化石を粉末にしたもの。アルカリ分は3~53%とばらつきが大きいため35%以上のものは貝化石石灰と呼ぶ。炭酸石灰と同様であるが、土砂、有機物、微量要素を含むため品質を重視する野菜、チャ、果樹などで用いられている。いろいろな効能が挙げられているがその機能については不明な点が多い。
石灰は土により効き目が異なります。
大きく黒ボク土と非黒ボク土に分けられます。
一般的に黒ボク土は酸性化が進みやすい土壌なので石灰の効果が大きい。
砂質土壌は降雨により肥料が流れやすいため石灰の効果は早く表れる。
粘土質土壌では、肥料が流れにくいため石灰の効果が長く続きやすい。他の土と比較して石灰の効果は顕著ではない。
実用的な使い方だが、一般向けにまで落とし込むのは非常に難しい。
農家であれば、年1回から2回の土壌診断に基づいた施肥量を決めればよい。だが、一般の方で土壌診断を受けることはコスト的にも非常に難しい。1サンプル8000~25000程度は覚悟する必要がある。
では、どうすればいいか。
簡単、安価なもので良いのでpHメーターの購入を勧めます。
まずは、測定をしてみてください。
基本的には6.5~6.8程度であれば石灰の量としては十分だろうと思います。
入れる必要はないでしょう。
6.5以下であれば石灰が必要です。一回50~100g/㎡から試してみて6.8まで目指すといいでしょう。
7.0を超える場合には必要はありませんが、一部の植物以外では高すぎです。一般的には硫黄を入れますが1か月以上使用できなくなってしまうので、ピートモスを30ℓ/㎡程度混ぜるか木酢液200~500倍を2週間に1回水やりするとよいです。
私もやっている改良を下に記しておきます。
マグネシウムの補給とすぐ植え込める特徴と吸湿性がなく取り扱いが簡便な苦土石灰をよく使います。
培養土なら土1ℓに対して0.6gの苦土石灰
よく混ぜて、pHメーターで測る。恐らく0.5程度上がっていると思います。
今度は1g入れて同じことをする。
ここで6.5~6.8程度になっていればオーケーです。
畑であれば100g/㎡ずつ入れて測ってを繰り返します。
もし、怖ければ入れる量を減らして混ぜる回数を増やしてください。
ホウレンソウなどの好アルカリ植物はさらに混ぜて7.2~7.5を目指すといいです。
エンドウなどは7を超えていたほうが連作障害が低減できます。
この石灰を混ぜる操作は慎重に行ってください。最初は0.5ずつ程度上がっていたものがある程度入れると同じ量でも1ないし1.5上がることがあります。土質に大きく影響されます。
注意点ですが、石灰のことばかり考えているとマグネシウムのことを忘れがちです。
石灰を考える時にはマグネシウムも考慮しなくてはいけません。
畑であれば、pHが目標に達していても、50g以下/㎡を混入しましょう。
このぐらいの量であれば、そこまで大きくpHを変えることはありません。マグネシウムの補給と思って行いましょう。
プランターなどの植木鉢ですが、土も少なく、水やりも畑よりは少ないと思います。石灰があまり消耗しません。なので、少しの石灰で土のpHが上がってしまいます。
pHが目標のレンジに収まっていたらどうするか。
農家が使うようなマグネシウム資材はなかなか手に入りません。そこでスーパーに売っているにがりを1000倍程度に薄めて土にたっぷりとかけてください。にがりの主成分であるマグネシウムが土に混ざります。あとは、植えこんでみて葉が濃い緑と薄い緑のまだら模様が出始めたらマグネシウムが足りていません。またにがり1000液をたっぷり撒いてみましょう。
症状が消えていれば時々にがり水をかけてあげるといいでしょう。(月1程度)
どうでしたでしょうか。
とっても大事な石灰の話でした。
ありがとうございました。
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